旗師・冬狐堂四

瑠璃の契り

瑠璃の契り

孤高の美人旗師・宇佐見陶子を主人公にした人気古美術ミステリーシリーズ、第四弾。表題作他三編の短編を収録。

著者 北森鴻 著・文・その他
ジャンル 文庫
文庫 > 徳間文庫
発行元出版社 > 徳間書店
シリーズ 徳間文庫
出版年月日 2021/02/10
ISBN 9784198946258
判型・ページ数 文庫・288ページ
定価 748円(税込)
美術品に隠された秘密を暴く

骨董商の命とも言える目を患った陶子
現在と過去とを繋ぐ四篇

信じるものは己の美意識と鑑定眼のみ


騙し騙されが日常茶飯事の骨董の世界を、一人で生
き抜く孤高の骨董商・宇佐見陶子。目利きの命であ
る眼を患った彼女の元に、同業者がわけありの品を
持ち込む。それは昭和を代表する作家の逸品であり
ながら、わずか十ヶ月のうちに三度も返品された和
人形だった(「倣雛心中」)。友人の硝子が流した
一粒の涙。瑠璃ガラスの切り子碗に隠された秘密と
は(表題作)。古美術ミステリー全四篇。


目次

倣雛心中
苦い狐
瑠璃の契り
黒髪のクピド

解説 法月綸太郎
  • 北森鴻
    1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、95年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。99年『花の下にて春死なむ』で第52回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。骨董や民俗学、料理や酒、明治初期の歴史など、広範な知識を生かし、端正な文章で綴られたミステリーで人気を博す。〈香菜里屋〉、〈旗師・冬狐堂〉、〈蓮丈那智フィールドファイル〉などシリーズ多数。その他の著書に『共犯マジック』『うさぎ幻化行』『暁英 贋説・鹿鳴館』などがある。2010年1月逝去。
Ta
冬狐堂シリーズの4作目にして最終巻。短編集であるため一作目、二作目に比べるとスケールは小さく感じるものの、一つ一つの話は手堅く面白い。個人的には「苦い狐」と「黒髪のクピド」が気に入った。特に後者は短編でありながら最後まで何が起きるのかとハラハラさせられたし、北森鴻らしい結末で読者としては嬉しかった。
豆乳くま
店を持たず信頼だけで古物を動かす孤高の旗師、冬狐堂。TVのお宝番組とはあまりにもかけ離れた闇を背負いながら自分の審美眼だけを頼りにする商売。そんな宇佐美陶子の美大時代の同級生の話は更に美大生の闇も乗っかり更に深く生きもできない苦しい世界を描いている。失意の美大生が旗師になるにあたり大きく影響を受けた恩師プロフェッサーDとの関係。読めば読む程陶子のDへの想いが溢れてしまうなんとも切ない素敵なシリーズ。最終巻なのね、本当に寂しい。

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