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2021.04.09
旗師・冬狐堂四
瑠璃の契り
美術品に隠された秘密を暴く
骨董商の命とも言える目を患った陶子
現在と過去とを繋ぐ四篇
信じるものは己の美意識と鑑定眼のみ
騙し騙されが日常茶飯事の骨董の世界を、一人で生
き抜く孤高の骨董商・宇佐見陶子。目利きの命であ
る眼を患った彼女の元に、同業者がわけありの品を
持ち込む。それは昭和を代表する作家の逸品であり
ながら、わずか十ヶ月のうちに三度も返品された和
人形だった(「倣雛心中」)。友人の硝子が流した
一粒の涙。瑠璃ガラスの切り子碗に隠された秘密と
は(表題作)。古美術ミステリー全四篇。
目次
倣雛心中
苦い狐
瑠璃の契り
黒髪のクピド
解説 法月綸太郎
骨董商の命とも言える目を患った陶子
現在と過去とを繋ぐ四篇
信じるものは己の美意識と鑑定眼のみ
騙し騙されが日常茶飯事の骨董の世界を、一人で生
き抜く孤高の骨董商・宇佐見陶子。目利きの命であ
る眼を患った彼女の元に、同業者がわけありの品を
持ち込む。それは昭和を代表する作家の逸品であり
ながら、わずか十ヶ月のうちに三度も返品された和
人形だった(「倣雛心中」)。友人の硝子が流した
一粒の涙。瑠璃ガラスの切り子碗に隠された秘密と
は(表題作)。古美術ミステリー全四篇。
目次
倣雛心中
苦い狐
瑠璃の契り
黒髪のクピド
解説 法月綸太郎
Ta
冬狐堂シリーズの4作目にして最終巻。短編集であるため一作目、二作目に比べるとスケールは小さく感じるものの、一つ一つの話は手堅く面白い。個人的には「苦い狐」と「黒髪のクピド」が気に入った。特に後者は短編でありながら最後まで何が起きるのかとハラハラさせられたし、北森鴻らしい結末で読者としては嬉しかった。
豆乳くま
店を持たず信頼だけで古物を動かす孤高の旗師、冬狐堂。TVのお宝番組とはあまりにもかけ離れた闇を背負いながら自分の審美眼だけを頼りにする商売。そんな宇佐美陶子の美大時代の同級生の話は更に美大生の闇も乗っかり更に深く生きもできない苦しい世界を描いている。失意の美大生が旗師になるにあたり大きく影響を受けた恩師プロフェッサーDとの関係。読めば読む程陶子のDへの想いが溢れてしまうなんとも切ない素敵なシリーズ。最終巻なのね、本当に寂しい。