父親や兄への少年の思いをたくみに描きだす、
英国の気鋭の作家による物語。
1922年の暑い夏、ぼくは、兄さんと母さんと、
テキサスの小さな町に住んでいた。
父さんは、戦争が終わって何年もたつのに
帰っていない。
町が退屈だからだろうか。
それとも、戦争で死んでしまったのだろうか。
そんな町にカーニバルがやってきた。
ぼくはカーニバルの〈恐怖の館〉で、
銃で撃たれてさけぶすがたの
兵士のろう人形に、目がくぎづけになってしまう。
その晩、その兵士が寝室に現れた。
いったいなぜ…?
父親や兄への、少年の思いをたくみに描きだす、
英国の気鋭の作家による物語。
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キース・グレイ
1972年イギリス生まれ。子どもの頃、ロバート・ウェストールの作品に出会って心酔し、作家を志す。『ジェイミーが消えた庭』(ガーディアン賞ノミネート)、『家出の日』(サンケイ児童出版文化賞推薦)、『ロス、きみを送る旅』などで話題の作家。
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野沢佳織
上智大学英文学科卒。訳書に『ソンジュの見た星』『ただ、見つめていた』『禁じられた約束』『ジェイミーが消えた庭』『ウェストール短編集 遠い日の呼び声』『ロジーナのあした』(徳間書店)、『凍てつく海のむこうに』(岩波書店)、『林檎の木から、遠くはなれて』(柏書房)『秘密の花園』(西村書店)他。
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金子恵
女子美術大学卒。おさないころより絵を描くことと本を読むことが好きで、子どもの本のに関わる仕事に携わりたいと考えるようになる。大学では油画を専攻、のちに版画科へ転向。表紙画や挿絵を担当した作品に『神去なあなあ日常』(三浦しをん)『引き出しの中の家』(朽木祥)『鷹のように帆をあげて』(まはら三桃)などがある。