電子書籍あり
偶然の殺意
浅草生まれ、浅草育ちの山内鬼一は「鮨芳」を営む鮨職人。もともと文学好きで将来は文筆で身を建てる志を持っていたが、先代の父親が倒れたのを機に大学を中退し、鮨を握って二十年余りになる。そんなある日、常連客の花房潤一の訃報を聞く。不慮の事故と思われたが、解剖の結果、服毒死と判明。山内は母親のタツと事件の謎に迫るが、まもなく第二の殺人が起きる。復刊し、ロングセラーとなった『模倣の殺意』などで人気の著者の本格推理小説。
ふでこ
なかなかに複雑に絡み合っていたが、面白くてスラスラ読めました。
sanukinoasayan
浅草の寿司職人山内鬼一のもとに、常連客花房潤一の訃報が届く。地震の被害に遭い避難していた、別居中の妻と娘の様子を見に、避難所を訪れた際に余震による建物の一部崩壊に巻き込まれたとのことだったが、警察の検死の結果毒殺と判明した。そこから潤一の祖父の遺言により、遺産を相続するはずだった関係者が次々と殺害されてゆく。関わる人物の複雑な関係を伏線とし、事件は見事な解決に向かうのですが、鬼一の母親山内タツのアガサ・クリスティの作品に登場するミス・マープル並みの活躍が中々に痛快で楽しい、推理小説の王道的な秀作。