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千年鬼

千年鬼

その独特な世界観で好評を得たファンタジーノベル大賞受賞以来、時代・推理小説など緻密と人情描写で評判の著者が描く伝奇小説。

著者 西條奈加
ジャンル 文庫
文庫 > 徳間文庫
シリーズ 徳間文庫
出版年月日 2015/08/07
ISBN 9784198939953
判型・ページ数 文庫・288ページ
定価 693円(税込)
森で暮らす小鬼は、弟を探して迷い込んだ少女・民と出会う。
過去見の術を使って弟がいた過去世を見せるが、その為に民は錯乱し、身内に『鬼の芽』を生じさせた。
鬼の芽は、破裂し、非道を働けば、地獄に落とされ、現世へ二度と戻れない。
だから小鬼は、生まれ変わる度に生じる鬼の芽を、千年にわたって、摘みとる業を自ら望んで背負うことに……。
人の心の機微を、気鋭の著者が描く、ファンタジー小説。
  • 西條奈加
    北海道生まれ。東京英語専門学校卒業。貿易会社勤務を経て、2005年『金春屋ゴメス』で第17 回日本ファンタジーノベル大賞大賞を受賞しデビュー。12 年『涅槃の雪』で第18 回中山義秀文学賞を受賞。15 年『まるまるの毬』で第36 回吉川英治文学新人賞を受賞。21年『心淋し川』で第164回直木賞受賞。主な著作に『善人長屋』『はむ・はたる』『千年鬼』『首取物語』など。
かわぎり
ファンタジーの西條さんを読むのは初めてで多少戸惑う部分はあった。「どうしてこんなことするんだ」というのが正直なところ。因果応報の思想が一貫していて、そこは良かった。
Kosuke Inokuchi
赤い肌に緑色の髪。こんな鬼に会ったらまず仲良くはならないだろうに、無邪気な民は友達になってしまう。物語は前後しており、5編目の「小鬼と民」が始まりのようだ。他の編は最初から千年に渡り鬼の芽を摘む、小鬼と黒鬼の罪の償いだった。人に知恵が与えられたゆえ、善悪と罪の意識を宿し、怒りや悲しみに耐えられなくなって人鬼と化す。なんともやりきれないお話の中にも、鬼の芽を持つ人々が、やりきれない心情を耐え抜いて心を持ち直す姿は、かすかな希望の火を灯す。悲しい結末にも関わらず、砂になった小鬼を探し続ける民の姿にグッとくる。

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