小学校6年生の梢は、お母さんとふたりぐらし。幼い頃交通事故で亡くなったお父さんはバイオリン奏者だった。梢も父の遺したバイオリンを弾いていたが、ある事故がきっかけで、右腕がうまく動かなくなり、弾けなくなっていた…。同じ頃、お母さんが勤める楽団が、突然解散することになった。気力をなくしたお母さんは、梢を連れて、夏休みにしばらく田舎にある実家に戻ることにした。山間の町で梢は、季節はずれのどんぐりを拾った。どんぐりは、お父さんの思い出と結びついて…。
十二歳の少女とその母が、それぞれに行き方を模索していく姿をみずみずしい感性で描く、さわやかでちょっぴり不思議な物語。