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小説「聖書」
使徒行伝上
新約聖書の「使途言行録」「パウロの手紙」が、ワンゲリンの読みやすく鮮やかな描写により、壮烈な奇跡のドラマとしてよみがえる。キリスト教の迫害者だったパウロは旅の途中、突然神の光にうたれ、改心する。彼はあらゆる迫害を乗りこえて、イエスの教えを世界に広めようとするが……。初期キリスト教の発展の様子と、ユダヤ教と袂を分かつことになる、苦しみと葛藤まで描かれる。
shimashimaon
複数の主人公が入れ替わり立ち替わり一人称で語る物語。ファリサイ派パウロの舌鋒鋭さが序盤の見所です。セネカも登場します。キリスト教徒にとって敵であるローマ帝国の、次代の皇帝の養育係として。セネカの兄であるガリオンがアカイア総督として、ユダヤ人に訴えられたパウロの裁判に臨む場面は終盤の見所です。キリスト教徒はユダヤ人と闘っていた。それを大いなるローマが冷静に裁くシーンに快哉を叫びたい。新約聖書を読んでもピンとこなかったのですが、このキリスト教の開祖は強い。愛されていると信じることが、人を強くするのですね。
Yuko Furuichi
ドキドキハラハラの展開で、早く続きが読みたいのに、下巻は文庫化がまだ!待ち遠しいです。