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津波の墓標
釜石市の遺体安置所を舞台にした『遺体』。各所で絶賛されたこの作品では描けなかった、小さな物語を集めたノンフィクションです。被災した人々は、肉親の死をどう受け入れているのか。各地の避難所で起こった「幽霊騒動」とは? DNA鑑定が遅遅として進まないのはなぜか? マスコミが報道してこなかった震災の真実を、つぶさに取材してき石井光太氏がすくいとります。震災の果てに希望を見出した著者の、限りなく優しいまなざしが胸に迫ります。
やどかり
メディアで報道されなかった被災地の真実が描かれている。遺体が見つかったからマシだ、家が残っているではないかと、被災者の中でいがみ合いがあったのは辛い。ガンバレとか復興とか、それも大事だが、現地ではそんなに単純な言葉では片付けられない状況だった。大手メディアの対応が残念だ。あれから変わったのだろうか。著者のように、何にも忖度せず真実を伝えてくれるルポライターは貴重だ。しかも最後に、事実関係の誤認、発言意図の誤解があれば知らせてほしいとまである。ここまで覚悟と責任を持ったドキュメンタリーはなかなかないのでは。
蒲公英之種
毎年この時期に読む。 10 年前、19 日から入院してしまい何も支援出来なかった。完治した後も日々の生活を言い訳にして被災から歩き続ける人たちの事を思う事の少ない自分。 やった事といえば、少額の募金や東北の物産を買うくらい。 でも何があったのかを忘れない、それだけは続けていこうと思う。 この時期になると繰り返し流れる映像には映らない被災者、支援者の思いや葛藤などを、文字を読むという事で作者の思いも含めより深く感じられる。