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芥川賞作家・吉村萬壱氏が描く最新長篇『みんなのお墓』が発売!
2024.03.28
電子書籍あり
回遊人
平凡な暮らしとはいえ、幸せな家庭を築いた男。
しかし、妻子とのやり取りに行き詰まりを感じて出奔してしまう。
たどり着いたドヤ街で小さな白い錠剤を見つけた男は、遺書を書き、それを飲む。
ネタになるならよし。よしんば死んでも構わないと考えて。
目覚めるとそこは10年前、結婚前の世界だった。
人生を選べる幸せを、男は噛み締めていたのだが……。
芥川賞作家が描く大人の偏愛。
しかし、妻子とのやり取りに行き詰まりを感じて出奔してしまう。
たどり着いたドヤ街で小さな白い錠剤を見つけた男は、遺書を書き、それを飲む。
ネタになるならよし。よしんば死んでも構わないと考えて。
目覚めるとそこは10年前、結婚前の世界だった。
人生を選べる幸せを、男は噛み締めていたのだが……。
芥川賞作家が描く大人の偏愛。
Erika
妻子を残し過去に遡った男は富と成功と夢に見た女性を手にするも、徐々に満たされない気持ちを募らせ元の世界に戻ろうとする。しかし何度やり直しても過ちは避けられず、過去に戻る度にその過去は少しずつ変容していく。気づいた時には失うものばかりが増えていき、最後には救えたはずの者でさえ救えなくなってしまう。人は追い求めたものを手に入れるとその価値は下がっていき、逆に過去に手にしたものの価値は相対的に上がっていくということだろうか。カルマから抜け出せない無限地獄でもがき苦しむ男の物語だった。
コールドパワー
主人公の男はとにかく身勝手で、どうしようもない女好きでクズ野郎だけど、何度も同じ10年をやり直す人生は傍で見ているだけで切なかった。結局、違う誰かと結婚したところで、自分そのものが変われるわけじゃなく、常に埋まらない心の隙間が生じるのだろうなと。淑子さんが可哀想で仕方ない。