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回遊人

回遊人

タイムスリップして、もう一度妻に愛してもらう自信はありますか?<br>芥川賞作家が描く大人の偏愛。

著者 吉村萬壱
ジャンル 文庫
文庫 > 徳間文庫
シリーズ 徳間文庫
出版年月日 2020/01/11
ISBN 9784198945305
判型・ページ数 文庫・288ページ
定価 759円(税込)
平凡な暮らしとはいえ、幸せな家庭を築いた男。
しかし、妻子とのやり取りに行き詰まりを感じて出奔してしまう。
たどり着いたドヤ街で小さな白い錠剤を見つけた男は、遺書を書き、それを飲む。
ネタになるならよし。よしんば死んでも構わないと考えて。
目覚めるとそこは10年前、結婚前の世界だった。
人生を選べる幸せを、男は噛み締めていたのだが……。
芥川賞作家が描く大人の偏愛。
  • 吉村萬壱
    1961年、愛媛県松山市生まれ、大阪育ち。京都教育大学卒業後、東京、大阪の高校、支援学校教諭を務めた後、52歳で専業作家に。2001年「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞を受賞してデビュー。2003年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞、2016年『臣女』で第22回島清恋愛文学賞受賞。小説のほかに漫画『流しの下のうーちゃん』、エッセイ集『生きていくうえで、かけがえのないこと』『うつぼのひとりごと』『哲学の蠅』がある。ほかの著書に『バースト・ゾーン 爆裂地区』『ヤイトスエッド』『ボラード病』『虚ろまんてぃっく』『前世は兎』『出来事』『流卵』『死者にこそふさわしいその場所』など。
Erika
妻子を残し過去に遡った男は富と成功と夢に見た女性を手にするも、徐々に満たされない気持ちを募らせ元の世界に戻ろうとする。しかし何度やり直しても過ちは避けられず、過去に戻る度にその過去は少しずつ変容していく。気づいた時には失うものばかりが増えていき、最後には救えたはずの者でさえ救えなくなってしまう。人は追い求めたものを手に入れるとその価値は下がっていき、逆に過去に手にしたものの価値は相対的に上がっていくということだろうか。カルマから抜け出せない無限地獄でもがき苦しむ男の物語だった。
コールドパワー
主人公の男はとにかく身勝手で、どうしようもない女好きでクズ野郎だけど、何度も同じ10年をやり直す人生は傍で見ているだけで切なかった。結局、違う誰かと結婚したところで、自分そのものが変われるわけじゃなく、常に埋まらない心の隙間が生じるのだろうなと。淑子さんが可哀想で仕方ない。

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