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雨と詩人と落花と
天領の豊後肥田、私塾咸宜園の塾主である広瀬旭荘は二度目の妻・松子を迎えた。剛直で激情にかられ、暴力をふるうこともある旭荘。しかし、心優しき詩人である彼の本質を松子は理解し、支え続けた。だが、江戸で松子は病魔に倒れる。時は大塩平八郎の決起など、各地が騒然としている激動期。儒者として漢詩人として、そして夫としてどう生きるべきか。旭荘は逡巡し、ある決断を下す。動乱の時代に生きた詩人の魂と格調高い夫婦愛を描く著者畢生の書。
ふじさん
広瀬旭荘は咸宜園の塾主として二度目の妻・松子を迎える。剛直で激情にかられ暴力をふるうこともあるが、本質は心優しき人である。彼の人生は、大坂では緒方洪庵という知己は出来たが、大塩平八郎の乱に翻弄され、咸宜園の門人だった高野長英は蛮社の獄で捕らわれたが、脱獄し行方不明、水野忠邦に見いだされ江戸に出るが、忠邦は失脚し、私塾を開いて糊口をしのぐことになる。まさに、世の中の動きに翻弄される人生。そんな中、妻の松子が病に倒れる。儒者として夫としてどう生きるべきか問われる。動乱期に生きた漢詩人と妻の夫婦愛を描い作品。
アイマール
天領豊後日田の広瀬旭荘は、兄の淡窓から引き継ぎ私塾・咸宜園の塾主となる。旭荘は、二度目の妻松子を迎える。剛直で激情にかられ妻に暴力を振るうこともある旭荘は、本質では心優しき詩人だ。 大塩平八郎の乱が起こる大阪や江戸に出て、詩人儒者として世に出る機会を探す旭荘を、松子は支え続ける。しかし、江戸にいる間に松子は病気となり寝込むことになる。