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秋萩の散る

秋萩の散る

国のため命懸けで荒海を渡る遣唐使、左遷され、失意の道鏡に囁かれた邪な誘い。『若冲』『落花』の著者が贈る奈良時代絵巻。

著者 澤田瞳子
ジャンル 文庫
文庫 > 徳間文庫
シリーズ 徳間文庫
出版年月日 2019/10/09
ISBN 9784198945084
判型・ページ数 文庫・272ページ
定価 715円(税込)
阿倍女帝こと孝謙天皇に寵愛され、太政大臣禅師や法王などの高職に就いていた頃の面影は、もはやない。女帝の死後すぐに下野国薬師寺別当に任ぜられた道鏡は、空ばかり見て過ごしていた。そこに行信と名乗る老僧が、道鏡に近づき「憎い相手はおらぬか――」と囁く。そう問いかけられたとき、道鏡の心に浮かんだ顔は……。『若冲』『落花』等で注目の歴史小説家が、奈良時代、治世の安寧を願った人々の生き様を描いた珠玉の短篇集。
  • 澤田瞳子
    1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院博士前期課程修了。2011年、デビュー作『孤鷹の天』で第17回中山義秀文学賞を受賞。13年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞2012ならびに第32回新田次郎文学賞を受賞。16年『若冲』で第9回親鸞賞、20年『駆け入りの寺』で第14回舟橋聖一文学賞、21年『星落ちて、なお』で第165回直木賞受賞。その他の著書に『ふたり女房』『師走の扶持』『関越えの夜』『秋萩の散る』『与楽の飯』『腐れ梅』『火定』『龍華記』『落花』『名残の花』『能楽ものがたり 稚児桜』『漆花ひとつ』『恋ふらむ鳥は』、エッセイ『京都はんなり暮し』などがある。
ちゃとら
久しぶりの澤田瞳子さん。奈良時代の家柄、出世、妬み嫉み、呪詛ドロドロ満載、5話の短編集。中でも「夏芒の庭」は親達の因果で大学寮で起こる悲劇が切なかった。「秋萩の散る」は孝謙天皇亡き後の道鏡の話。「誰を呪いたいのか」苦しむ道鏡は、とても純粋に描かれていた。ギュッと詰まった面白い本だった。
yuzi
昨年直木賞を受賞した澤田瞳子による『孤鷹の天』のスピンオフ短編集らしい。知らずに先に読了。気に入りの登場人物が本編では死んでるとはショック。『~仏師・定朝』も読みましたが、作者は古代仏教を研究してきた方だとか。時代背景がしっかりしてるはずだぁ。時代小説は骨組みがしっかりしてこそ物語が活きる。表題作面白い解釈。奈良時代の有名どころが脇役として多々登場。どの話も面白かったが、個人的には『南海の桃李』『夏芒の庭』が好き。泣いた。いや、『梅一枝』も面白かった。笑った。『凱風の島』の先が暗い感じも奈良時代ならでは。

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