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犬
大阪でニューハーフ店「さくら」を営む桜は63歳のトランスジェンダーだ。23歳で同じくトランスジェンダーの沙希を店員として雇い、慎ましくも豊かな日々を送っていた。そんなある日、桜の昔の男・安藤勝が現れる。今さらと思いながらも、女の幸せを忘れられない桜は、安藤の儲け話に乗ることを決意。老後のためにコツコツと貯めた、なけなしの1千万円を用意するが……。鬼才が放つ、狂乱の疾走劇
Gemi
先日読み終えた「救い難き人」と同じ匂いを纏った本。本作の主人公は大阪でニューハーフ店を営む63歳の桜。同店で働く美少女の沙希は23歳。2人ともトランスジェンダー。ある日その店に桜の昔の男、安藤が現れる。桜は動揺を隠せなくなり、そんな桜を見ていられない沙希。随分と認識が変わってきているLGBTQ。どう考えても沙希が正しいのだが、桜はどうして安藤を信用したのか。いや、信用していたわけではなく賭けたのだ。家族がいなくて老後が不安な桜には安藤を信じることに賭けるしかなかったのだ。最後はモヤっとするが壮絶だった。
椎野
なかなか凄惨な話だけど、語り口が関西弁なせいか、軽妙で読みやすい。LGBTの人たちが、この物語のように寄り添って暮らせる世の中になればいいと思う。 安藤のような男は世の中にたくさんいるので、滅んでくれ。