地先

地先

人生の山やどん底を体験したあとの男女に訪れる静謐な時間。名手が描く細やかで切ない愛情の襞。主人公はあなたかもしれない。

著者 乙川優三郎
ジャンル 文芸書
シリーズ 文芸書
出版年月日 2019/08/08
ISBN 9784198648978
判型・ページ数 四六・200ページ
定価 1,760円(税込)
寡作ながら、今まで素晴らしい作品を生み出してきた乙川優三郎が、日本を舞台に人生の機微を描く秀逸な短編集!
圧倒的な筆致で、数々の賞を総なめにしてきた乙川優三郎の真骨頂は、心にしみる短編にある。楽しいだけの話ではなく、「苦しみの末のハッピーエンドを予感させる物語」を描く。人生の後半にさしかかった男女。しかし、心は、色褪せてはいない。艶めいた思い出と、思いがけない出来事で揺れる8篇を収録。
  • 乙川優三郎
    1953年 東京都生れ。96年「藪燕」でオール讀物新人賞を受賞。 97年「霧の橋」で時代小説大賞、2001年「五年の梅」で山本周五郎賞、 02年「生きる」で直木三十五賞、04年「武家用心集」で中山義秀文学賞、 13年「脊梁山脈」で大佛次郎賞、16年「太陽は気を失う」で芸術選奨文部科学大臣賞、 17年「ロゴスの市」で島清恋愛文学賞を受賞。
けえこ
房総半島御宿辺りの描写が多めの短編集。 油彩青木繁「海の幸」にインスパイアされたのかな?表題作が印象的だった。
じいじ
「時代小説」に惚れ込んだ乙川さんですが、いまいち馴染めない乙川さんの「現代小説」。でも、この短篇集の【表題作】はよかったです。舞台は著者十八番の房総半島「御宿」の海です。外房には勝浦・鴨川など数々の名所がありますが、この御宿が一番好きです。いっとき夏の海水浴シーズンを避けてせっせと通いました。主人公の絵描きが、熱狂的に彼を支える女(パトロン)からの脱皮を願って、ひとり「御宿」のしなびた民宿へ。そこの宿の一人娘をモデルにして自身の再起を…。昨夜は、鏡面のような静かな御宿の海が夢枕に立ちました。

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